デザインの「正」とは
SNSや検索エンジンを使っていると「ちょっと前に調べた商品やサービス」が広告に出てくることがあると思うんですが、そういったパーソナライズド広告同様にSNSやYouTubeなどでは「おすすめ投稿」が表示されます。私の場合、YouTubeはプライベートでは海外の動画(旅ものとかライフスタイルとか)を見ることが多く、仕事では圧倒的に日本国内の動画になります。トップページは登録チャンネルの新着や過去に閲覧した動画に関するおすすめが並ぶのですが、海外のものと日本のもので全く異なるのは「サムネに盛り込まれている情報量」です。
映画ポスターや某コンビニのコーヒーマシンなど過去にもちらほら話題になりましたが、とにかく日本人は「情報量が多い」ことを好む傾向にあります。ジャンルにもよると思いますが、海外のサムネはスッキリシンプルなものが多いのに比べて、日本のものはとにかく隙間なく文字が入っているようなサムネが多い印象です。
さらに日本のサムネは画数の多い漢字も多用するので、どうしてもごちゃごちゃ感が出てしまいます。いや、「出てしまう」というのはあまりふさわしい表現ではないかもしれません。正確に言うと「日本人好みのごちゃごちゃ感を(あえて)出している」と言えます。
周りを見渡してみると、サムネに限らず街の看板、チラシ、大手ECサイト…とにかく消費行動について日本人は情報量が多くて主張が強いものに惹かれる傾向にあります。最近ではブランディング的な観点から無駄のない削ぎ落とされたシンプルなデザインも増えてきていますが、これもまた「一歩引いて(あえて)売りたい主張を抑え、思いを伝えることで共感を得る」流れとしてまた別のデザイン戦略が必要になってきます。
デザインとはそもそも「情報伝達」「問題解決」のためのものであり、一見ごちゃごちゃしたデザインでも、ターゲットに刺さり、目的が十分に達成できてるならば、それはデザイナーの技量や好き嫌いに関わらず「正しい」デザインなのです。
テクノロジーやデザイン、国民性を見ても「日本」というのはいろんな意味で「ガラパゴス」な面白さがある国です。だからこそ日本のデザイナーはいろんな視点が必要になるのかもしれません。
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